1.2. 千手システム導入の前に

ここでは、千手システムを導入するにあたって、検討しておく事柄について説明します。

1.2.1. 管理範囲

千手システムを導入するにあたって、業務システムの管理範囲を明確にするために、次のことを考慮しておく必要があります。

1.2.1.1. 管理対象ネットワーク

千手システムは、IPプロトコルで接続されたネットワーク上のノードを対象にしています。この中の、管理するIPネットワークの範囲を決定します。通常は、ネットワーク番号で管理ネットワークを定義します。

1.2.1.2. 管理対象機器

管理する機器は、IP接続されたUNIX、Linux、Windows機です。モニタリングサブシステムのネットワーク監視機能により、その他のネットワーク機器( ルータなど ) を監視することも可能です。

1.2.1.3. 管理項目

管理対象システムに対して管理する項目 (アプリケーション、ジョブ等 )を決定します。管理する項目は、利用する機能 (サブシステム)によって異なります。また、管理対象が多い場合は、予め名前付けのルールを決めておくとよいでしょう。たたし、次の項目については、業務システム内でのネーミングを一意につけるようにして下さい。

  • 千手システム共通機能関連
    • ノード名

    • ノードグループ名

    • ユーザー名

    • 営業日カレンダー名

    • 週間スケジュール名

    • コマンド名

    • パラメータ名

    • アイテムグループ名

    • アイテム名

    • リレーション名

    • ネーミングフィルタ名

  • イベント関連
    • メッセージID

    • メッセージフィルタ名 (各ドメインのマネージャが送るメッセージをフィルタリングする)

    • ルールグループID

    • ルールID

    • メールテンプレート名

    • メール連絡先名

    • 連絡先グループ名

    • テンプレートグループ名

    • セクション名

    • ブックグループ名

    • ブック名

  • モニタリング関連
    • カスタム監視項目カテゴリ名

    • カスタム監視項目名

    • 監視タスク名

    • テキストログファイル監視定義(ログフィルタ)名

    • JSONログファイル監視定義(JSONログフィルタ)名

    • イベントログ監視定義(イベントログフィルタ)名

  • ジョブスケジュール関連
    • 稼働日カレンダー名

    • システム名

    • フレーム名

    • ネット名

    • ジョブ名(分岐ジョブ名)

    • 動作環境名

    • 動作環境プール名

    • トリガ名

    • リソース名

    • ジョブサービスチェック項目名

    • ジョブサービスグループ名

  • キャパシティ関連
    • メッセージ密度名

    • メッセージ分布名

    • モニタリング名

    • ジョブレポート名

    • ジョブ遅延分析名

  • コンフィグレーション関連
    • 接続設定名

    • 構成管理項目カテゴリ名

    • 構成管理項目名

    • 実行ユニットグループ名

    • 実行ユニット名

    • 履歴表示設定名

これらの管理項目は、千手ブラウザの登録画面を使って入力します。入力した管理項目は千手マネージャ上の管理情報ファイルに保存されます。

1.2.2. 担当者の役割

千手システムの運用には、次の担当者を想定しています。

  • システム管理者

  • 運用オペレータ

  • アプリケーション開発者

  • 基盤管理者

1.2.2.1. システム管理者の役割

システム管理者は、業務システム全体を管理し、すべての運用を統括します。システム管理者の主な役割を次に示します。

  • 業務システム全体の構成管理

  • アプリケーション、機器の登録申請受け付け、認可

  • 管理情報の登録、削除

  • 運用指図書の作成 ( 運用オペレータへの指示 )

  • 障害発生時のオペレーション受付・指示

1.2.2.2. 運用オペレータの役割

運用オペレータは、システム管理者が作成した運用指図書を基に、実際の日常業務を行います。運用オペレータの主な役割を次に示します。

  • システム管理者の指示 ( 運用指図書 ) に従った運用操作

  • メッセージの監視と障害発生時の報告

  • 運用報告書の提出

  • 障害発生時のオペレーション対応

1.2.2.3. アプリケーション開発者の役割

アプリケーション開発者は、業務システムごとに存在し、アプリケーションや、千手システムの運用に使用する運用コマンドを開発します。

  • アプリケーションの管理

  • アプリケーション、および運用コマンドの設計・開発

  • アプリケーションの運用方式の決定

  • 障害発生時の調査・オペレーション対応・依頼

1.2.2.4. 基盤管理者の役割

基盤管理者は、管理するサーバーごとに存在し、サーバーやOS、サーバー上で稼働するアプリケーションの設定情報を維持管理します。

  • サーバー管理規定に従ったサーバーの設定維持管理

  • サーバーの設定変更要求に従った設定変更

1.2.3. 運用体制

業務システムを運用する場合の運用体制を明確にしておく必要があります。 図 1.8 に通常運用時の運用例を示します。

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図 1.8 通常運用時の運用体制

  • システム管理者

    システム管理者は、通常運用時はシステム全体の管理を行い、運用オペレータに指示を与えます。 運用オペレータの監視項目 (永続的な監視項目、およびその日だけの監視項目)と監視基準、および報告体制を決定します。

    監視項目には、次のようなものがあります。

    • 管理対象ノード

    • 監視タスク

    • ネットワーク

    • バッチジョブ

    • パッケージ

    • 構成情報

    また、アプリケーション開発者が開発したアプリケーションのシステムへの登録申請を受け付け、システムへ登録します。

    原票を作成して、登録対象物の詳細を記入して申請するようにすると、業務システム内の資源を管理しやすくなります。

  • 運用オペレータ

    運用オペレータは、システム管理者からの運用指示書によって、実際のシステムの運用、および運用状況の監視を行います。

    システムになんらかの問題が発生した場合は、システム管理者に報告を行います。

  • アプリケーション開発者

    アプリケーション開発者は、ユーザーの要望などを受け、担当業務のアプリケーションを開発していきます。

    また、開発したアプリケーション、ジョブ、運用コマンドなどの管理項目のシステムに登録( 削除、変更 ) する場合の運用体制 ( 申請先、登録方法、運用手順 )、および障害発生時の対応を決定します。

  • 基盤管理者

    基盤管理者は、設定の変更を行い、変更が正しく行われたことを確認します。また、定期的にサーバーの設定情報を収集し、設定の変更の有無を管理します。