5.1. ジョブスケジュールの概要

ジョブスケジュールは、業務システムで運用するジョブを運用管理サーバーで一元管理し、実行を制御するサブシステムです。運用日を定義したカレンダーを作成することで、ジョブを計画運用できます。主な特徴は以下の通りです。

ジョブスケジュールサブシステムの概要を下記の図に示します。

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図 5.1 ジョブスケジュールサブシステムの概要

  • カレンダーによる計画運用

    予め、運用日を設定したカレンダーを作成し、ジョブ/ネット/フレームと関連付けることで、自動的に当日運用するジョブ/ネット/フレームを選択します。異なるジョブ/ネット/フレームに異なるカレンダーを割り当てることで、運用日によって実行するジョブ/ネット/フレームを選別することができます。

  • ジョブ/ネット/フレームの稼働状況表示

    ジョブ/ネット/フレームの稼働状況を運用管理コンソールで表示できます。稼働状況をグラフィカルに表示することで、ジョブ/ネット/フレームの運用状況を一目で確認することができます。

  • ジョブ/ネットの実行順序制御

    ジョブ/ネット同士の前後関係を指定したネットを作成することで、ジョブ/ネットの実行順序を制御できます。

  • 条件分岐によるジョブ制御

    ジョブの終了コードを条件にして分岐ジョブを設定できます。分岐ジョブによって、後続の処理を切り替えるような複雑なフローを作成することができます。

  • ジョブ/ネット起動のためのトリガ

    ジョブ/ネットを起動するタイミングを、トリガを定義して柔軟に設定することができます。

    • ファイル待ちトリガ

    • フレーム連携トリガ

    • その他ユーザー設定可能

  • 実行中ジョブ/ネット/フレームに対する操作

    運用管理コンソールから、実行中のジョブ/ネット/フレームに対して、一時停止、スキップなどの操作ができます。また、途中で中断したジョブ/ネット/フレームを再ランすることができます。

  • 複数ノードにまたがるジョブ/ネット/フレーム実行

    複数のノードにまたがったジョブ/ネット/フレームの実行を制御できます。ジョブ/ネット/フレームの実行を複数のノードに割り振ることで、業務システムの柔軟な運用が可能になります。ノードグループネット機能を使用することで複数ノードでの同一ジョブ実行が容易に設定できます。また、ロードバランス機能を使用すれば、稼働中のジョブ数が全ノードで均等になるように実行時にジョブを割り振ることもできます。

  • ジョブのログ出力

    ジョブが出力するログをファイルに取得することができます。

  • リソースによるジョブ/ネットの起動の排他

    ジョブ/ネットにリソースを指定することにより同時に稼働するジョブ/ネットに制限を設けたり、排他させることができます。リソースは異なるフレームのジョブ/ネット間や、運用日付の異なるフレームのジョブ/ネット間にも使用できます。

  • ジョブアクティビティによる稼働履歴の参照

    ジョブ/ネット/フレームの稼働履歴を元にタイムラインを表示することができます。

  • ジョブサービスによる業務フローの視点での監視

    指定した時刻にジョブ/ネット/フレームが起動/終了していること、自動サイクル運用が成功していることを監視し、監視結果をジョブサービスモニタでサービスグループ単位で一覧表示することができます。これにより、遅延監視のチェックリストを業務フローの視点、サービスの視点で確認することができます。

  • ジョブチェッカによる影響チェック

    後続ジョブ/ネットの影響チェック機能は、異常終了などで終了遅延が起きた場合や、ジョブの構成変更時に、後続ジョブ/ネットへの影響範囲(影響パス)を把握することができます。

5.1.1. ジョブスケジュールの構成要素

千手システムで運用するために必要な、ジョブスケジュールの構成要素を下記の図に示します。

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図 5.2 ジョブスケジュールを構成する要素

ジョブスケジュールサブシステムでは、複数のジョブ/ネットに前後関係を付けて構成した、ジョブ/ネットの集まりを1つの実行単位としています。ジョブスケジュールを構成する要素には、次のものがあります。

項目

説明

ジョブ

ジョブスケジュールサブシステムが管理する、業務実行の最小単位。プロセス、又は複数のプロセスをまとめたシェルスクリプトなどがこれにあたります。

ネット

一定の実行順序( 前後関係 )を持つジョブの集まりをグループ化したものをネットと呼びます。ネットの中にネットが存在することも可能です。

フレーム

幾つかのジョブ、及びネットを組み合わせた、ジョブの実行単位をフレームと呼びます。千手システムでは、運用日付を指定したネットをフレームとして登録して、実行させます。

システム

業務的に関連したフレームをグループ化したものです。フレームをシステム単位にまとめることで、投入、日付変更などの処理を一括して行えます。

実行システム

実際に実行されるシステムです。運用日付を指定したシステムは実行システムとして登録され、投入できるようになります。

動作環境

ジョブ、及びネットが稼働するノード名(千手センサーの場合はプローブノード名、接続設定)、ユーザー名、及び使用する環境変数を定義したものです。ジョブ、ネットを作成するときに、ジョブ、ネットと関連付けられます。

動作環境プール

ジョブが稼働するノード上で同時稼働ジョブ数の制御を行うために定義するものです。動作環境と関連付けます。

稼働日カレンダー

ジョブの1年間の稼働日、及び非稼働日を設定したものです。ジョブ、ネット、及びフレームは、これを基にして運用されます。

トリガ

各ジョブ、ネットの起動条件として定義するものです。指定ノードの指定ファイルが存在することを契機とするファイル待ちトリガ、ユーザーがトリガ送信コマンドを発行したことを契機とするイベント待ちトリガ、指定したフレーム/ネット/ジョブの終了を契機とするフレーム連携トリガの3種類があります。

リソース

各ジョブ、ネットの起動条件として定義するものです。
リソースを指定したジョブ、ネットが稼働するためには各々で定めた分だけのリソース消費値を必要とし、リソースが確保できない場合にはリソースが得られるまでの間、起動が抑止されます。
この機能によりジョブ、ネットの起動の排他を行うことができます。

5.1.2. 各構成要素の状態

各構成要素の中で、ジョブ、ネット、フレーム、実行システム、トリガについては、以下のような状態が定義されています。

なお、千手ブラウザでジョブ及びネットの状態を確認できるかどうかは、千手ブラウザが接続した千手マネージャの設定により異なります。千手マネージャの設定については、 SJ_AUTO_DETAILSTATUS-フレームおよび実行ブックの自動詳細監視の有効/無効設定- を参照して下さい。

  • 「手動で詳細監視する」千手マネージャの場合

    ジョブ及びネットは、通常は状態が表示されず"監視対象外"と表示されます。フレームの詳細監視を設定すると、設定したフレーム内のジョブ及びネットの状態が表示されるようになります。詳細監視フレームの設定方法については、 監視フレームの設定ダイアログ および ジョブモニタ([ランチャート]タブ) を参照して下さい。

  • 「自動で詳細監視する」千手マネージャの場合

    ジョブ及びネットが、状態を伴って表示されます。

5.1.2.1. ジョブの状態

状態

説明

未投入

フレームが投入されていない状態

待機中

フレームが投入され、起動するまでの間の状態

起動待ち

フレームが起動し、ジョブが起動されるまでの間の状態

稼働中

実際にジョブが稼働している状態

正常終了

実行されたジョブが、定義した終了しきい値の条件を満たす終了コードで終了した状態

異常終了

実行されたジョブが、定義した終了しきい値の条件を満たさない終了コードで終了した、またはジョブの起動に失敗した状態

キューイング

実行動作環境の最大稼働ジョブ数などの制限により、起動されたジョブが実行されるのを待つ状態

スキップ待ち

スキップ指定されたジョブが、フレームが起動し、ジョブが起動されるまでの間の状態

スキップ終了

スキップ指定されたジョブが起動され、スキップした後の状態

一時停止待ち

一時停止指定されたジョブのフレームが起動し、ジョブが起動されるまでの間の状態

一時停止

一時停止指定のジョブが起動され、一時停止中の状態

5.1.2.2. ネットの状態

状態

説明

未投入

フレームが投入されていない状態

待機中

フレームが投入され、起動するまでの間の状態

起動待ち

フレームが起動し、ネットが起動されるまでの間の状態

稼働中

ネットの中に稼働中のジョブまたはネットがあり、かつ一時停止のジョブまたはネットがない状態

正常終了

ネットの中のジョブ及びネットが、すべて正常終了または正常終了とスキップ終了した状態

異常終了

ネットの中に異常終了のジョブまたはネットがあり、かつ稼働中またはキューイングのジョブまたはネットがない状態

異常あり

ネットの中に異常終了のジョブまたはネットがあり、かつ稼働中またはキューイングのジョブまたはネットがある状態

停止中

ネットの中に待ち状態のジョブまたはネットがあり、かつ正常終了またはスキップ終了のジョブまたはネットがある状態

スキップ待ち

スキップ指定されており、ネットの中のジョブ及びネットがすべて待ちの状態

スキップ終了

ネットの中のジョブ及びネットがすべてスキップ終了した状態

一時停止待ち

一時停止指定されており、ネットの中のジョブ及びネットがすべて待ちの状態

一時停止

一時停止指定されたネットが起動され一時停止中、またはネットの中に一時停止のジョブまたはネットがある状態

5.1.2.3. フレームの状態

状態

説明

未投入

フレームが投入されていない、または投入したフレームを初期化した状態

待機中

フレームが投入され、起動するまでの間の状態

起動待ち

フレームの中のジョブ及びネットがすべて待ちの状態

稼働中

フレームの中に稼働中のジョブまたはネットがあり、かつ一時停止のジョブまたはネットがない状態

正常終了

フレームの中のジョブ及びネットが、すべて正常終了またはスキップ終了した状態

異常終了

フレームの中に異常終了のジョブまたはネットがあり、かつ稼働中またはキューイングのジョブまたはネットがない状態

異常あり

フレームの中に異常終了のジョブまたはネットがあり、かつ稼働中またはキューイングのジョブまたはネットがある状態

停止中

フレームの中に待ち状態のジョブまたはネットがあり、かつ正常終了またはスキップ終了のジョブまたはネットがある状態

スキップ待ち

スキップ指定されており、フレームの中のジョブ及びネットがすべて待ちの状態

スキップ終了

フレームの中のジョブ及びネットがすべてスキップ終了した状態

一時停止待ち

一時停止指定されており、フレームの中のジョブ及びネットがすべて待ちの状態

一時停止

一時停止指定されたフレームが起動され一時停止中、またはフレームの中に一時停止のジョブまたはネットがある状態

5.1.2.4. 実行システムの状態

状態

説明

未投入

実行システムの中のすべてのフレームが未投入の状態

待機中

実行システムの中に待機中のフレームがある状態

起動待ち

実行システムの中に待ち状態のフレームがある状態

稼働中

実行システムの中に稼働中のフレームがあり、かつ一時停止のフレームがない状態

正常終了

実行システムの中に正常終了またはスキップ終了のフレームがある状態

異常終了

実行システムの中に異常終了のフレームがあり、かつ未投入以外のフレームがない状態

異常あり

実行システムの中に異常ありのフレームがある、または実行システムの中に異常終了のフレームがあり、かつ未投入以外のフレームがある状態

停止中

実行システムの中に停止中のフレームがある、または実行システムの中に待ち状態のフレームがあり、かつ正常終了またはスキップ終了のフレームがある状態

一時停止

実行システムの中に一時停止のフレームがある状態

5.1.2.5. トリガの状態

状態

説明

ON

トリガの条件が満たされている状態

OFF

トリガの条件が満たされていない状態

不明

ファイル待ちトリガにおいて、エージェントのファイルチェックプロセスとの接続が切れている不明な状態