精密製造業などを数多く抱え、冬季オリンピックも開催された長野県。国内でも有数のIT先進県として、地域の県機関や市町村などを結ぶネットワークを構築し、それを共同利用することで、業務の効率化とコスト削減を図ってきた。一方、県庁の内部システムもインフラ整備を進めており、業務内容によっては非常に負荷のかかる大きな処理を行うケースもある。たとえば長野県総務部総務事務課では、庁内を含めて約3万人にのぼる給与の処理を行っており、その基盤の安定性を確保することは重要なミッションとなっている。同システムを取りまとめる県庁のキーパーソン、長野県総務部総務事務課課長補佐兼システム係長川口敏嗣氏に話を聞いた。
これまでの課題
大規模な給与処理システムを監視、トラブルを未然に防止する体制を
長野県総務部総務事務課では、主に職員の人事・給与計算にまつわる業務システムやアプリケーション類を中心に扱っている。一口に給与処理といっても、県庁内の職員のみならず、現地機関の職員、警察や教職員、さらには企業局職員なども含まれており、トータルで約3万人という大規模な事務処理を行わなければならない。そのほかにも、職員が自分の手当や精算旅費などを入力し、電子決裁を行うための「内部事務総合システム」の管理も行っている。
また、このような内部の大きな業務に加え、外部システムとして文書管理システムや物品管理システムのハードウェア管理も担当の範疇だ。文書管理システムでは、会議などで起案された事柄に対して決裁を行い、それを通知するという一連のプロセスを処理している。この決裁文書の一覧は、条例によって県民に公開する制度があり、インターネット上にある公開サーバと連携。同サーバの管理も行う必要がある。川口氏はシステム運用における課題を次のように語る。
「給与システムを扱う我々のような部署では、何か業務に障害をきたすことが起きれば、すぐにでも対応を行う必要があります。システムは常に動いていることが当たり前の世界だからです。そのため障害の迅速な検知と、プロアクティブな予防的措置として、将来どの部分にリスクがあるのかを察知したいと考えていました。そこで以前は、外部の監視センターを利用するとともに、オープンソースの監視ツールを導入しリソース監視を行っていました」(川口氏)
当時は外部の監視センターを利用して、そこから通知されたアラートで問題を捉えたのち、さらにリソースモニターを見比べながら、トラブルの原因を追究していたそうだ。
「システム障害を起こす前に、どれだけ予防策が取れるのか、その必要性を以前から強く感じていました。リソース監視による予兆検知により、年5~6回は障害発生を防いでいると思います」(川口氏)
導入効果
ログの分析など、高いサポート力を評価
こうした課題を抱える中、新たに導入したのが、野村総合研究所(NRI)のシステム運用管理ツールである「Senju Operation Conductor」(Senju/OC)だ。
Senju/OCは、40年以上にわたるNRIのIT運用のノウハウをベースに開発してきたシステム運用管理ツールだ。その大きな特徴の1つにエージェントレスで監視を実現できる点が挙げられる。監視対象への変更が不要なため、初期導入が簡単だけでなく、導入後の維持管理コストも抑えることができる。実際、今回のケースでも、他のエージェント型製品の場合は予算を大きくオーバーしてしまうが、エージェントレスのSenju/OCなら予算内で必要な監視体制を実現できることが分かった。
また、総務事務課では現在、Senju/OCを用いて担当システムに関するリソースの管理や、死活監視、ログ監視などを実現している。そのほかに、ネットワーク機器のトラフィックやWeb監視も視野に検討を進めているところだ。「Senju/OCは、機能がとても豊富で、これまで拾えなかったアラートも拾えます。いま我々が思い描いている監視体制を実現するために、汎用的に監視定義が行えるSenjuコマンドを作り込んでいますが、ほぼ想定どおりの環境を構築できるという手応えを持っています。またこの作り込みのhowtoを丁寧に説明してくれるカスタマサポートを高く評価しています」(川口氏)
実際にSenju/OCを利用すれば、時間帯別に監視のしきい値を変えたり、監視時間をスケジューリングすることも容易に行える。何かあった場合のアラート通知方法も、メールアドレス別に平日と休日で分けて飛ばすなど細かい設定が可能だ。以前は1つの障害に対して50件を超えるアラートが発報されることもあったが、無駄なアラートを抑止することにより以前よりアラート数は減っているそうだ。「Senju/OCは、痒いところに手が届く細かい機能が充実しています。操作方法や課題解決について分からない点があれば、NRIのサポートセンターに問い合わせて解決しています。単なる問い合わせだけに留まらず、システムから吐き出されるログを送り、それを細かく分析してもらうなど、非常に丁寧な対応していただき、大変助かっています」(川口氏)


今後の展望
将来を見据えた仮想環境における予兆検知も
これまでの活動により、目標値の年間稼働率99%を達成し続けている。長野県庁内では、いま仮想化環境の導入を進めており、総務事務課でも平成27年4月に、これら業務システムを仮想化環境上に再構築したため、稼働率99%を達成するには、こちらの監視体制もますます重要になってくると川口氏は語る。Senju/OCは、バーチャリゼーション監視によって、仮想化環境での監視と制御に対応できる点も大きな特徴だ。
より財政を厳しく問われるようなシーンでは、実際に割り当てた仮想サーバが有効に活用できるかどうか、また活用できていない場合に、仮想ディスクの空き容量やネットワークトラフィックの数値を明示化し、割当リソースを変更することで共用が可能かどうかという、プランニングも立てやすくなる。そういう点でも、Senju/OCを最大限に活用できる。今後はSenju/OCを活用して、死活監視やリソース監視によるヒヤリハットの防止や、仮想環境における予兆検知にも取り組みたいと語る川口氏。長野県総務部総務事務課ではSenju/OCを活用して、今後さらに効率的、効果的なシステム運用体制を構築していくことだろう。
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