NRI 野村総合研究所
導入事例 製造

ITIL準拠のSenju Service Managerで
記録からシステム改善への意識進化

グローリーテクニカルソリューションズ株式会社様

グローリーシステムクリエイトは、親会社であるグローリーの社内システムの運用・保守を本格的に請け負うことになった。これにともない、個人に依存しすぎていた自社の体制を見直す必要に迫られた。そこで「ITIL」をキーワードに掲げ、インシデント記録の仕組みに野村総合研究所(以下、NRI)のサービスデスク製品「Senju Service Manager」(以下、Senju/SM)を導入した。同製品の導入によって運用・保守サービスの標準化だけでなく、ITIL準拠の運用・保守に対する考え方も社内に浸透し、結果的に社員の意識も進化してきたという。

これまでの課題

本格的な運用・保守の移管を機に、ITILによる標準化を目指す

グローリーシステムクリエイト(以下、GSC)は、貨幣処理機のトップメーカーであるグローリーグループの一員として、通貨処理機・自動販売機・自動サービス機器など、さまざまな関連機器のソフトウェア開発や、紙幣や硬貨の識別技術開発で培った独自のアルゴリズムを採用した生体認証技術の開発なども行っている企業だ。現在、金融・流通・医療の市場にも拡大しているところである。
GSCでは、このようなシステム開発・設計を進める一方で、2009年からグローリー本社の社内システムの運用・保守の一部を請け負ってきた。
「昔からの手法を踏襲しているうちに、我々の運用・保守の方法も属人化に向かっていました。そのような状況の中、今回グローリーの情報システム部門からの要望で、これまでGSCが実施していた24時間365日のオペレーション体制の有効活用の為に、システム運用・保守業務をGSCに機能移管したいという話になりました」(システムソリューション5部グループマネージャー中田勝巳氏)移管を受ける以上、確実かつ迅速に高い品質で維持継続させる必要があった。
「課題として挙げられたのが、社内システム毎に異なる運用・保守を請け負えるのかという点でした。システムの運用・保守において、標準化をキーワードとして最終的に行き着いたのが、ITサービスマネジメントのベストプラクティスである“ITIL”(Information Technology Infrastructure Library)の導入でした」(システムソリューション5部中野直樹氏)

導入効果

サービスデスク製品の「Senju/SM」が選ばれた理由

そこでGSCは、ITIL準拠の製品を導入することで標準化を進め、安定した高品質の運用・保守サービスを実現する方針を決定した。国内でも複数のITIL準拠の製品が提供されていた。その中で自社に一番マッチする製品の選定作業が始まった。実際に製品を探してみると、機能面でインシデントを管理できる製品はあるものの、ITIL準拠をしっかり謳っていない製品も見受けられたという。その段階でそういった製品が振るい落とされた。
最終的な選定にあたっては、もともと利用していた製品と、新たにチョイスしたITIL準拠の計5製品を、機能面、使い勝手、コストなどから、詳しく比較検討したそうだ。
「前提条件として、オープンソースのフリー製品や小規模向けの製品は選択肢に入れませんでした。というのも、いざ運用を開始してから製品がなくなってしまう恐れもありますし、何かトラブルがあったときにサポートが薄いと困るだろうと考えたからです」(中野氏)
特にGSCが選定時にこだわった点は、使い勝手の部分だった。
「サポートデスク(社内ヘルプデスク)では、インシデント記録のために、簡易な仕組みを利用していましたが、現行の機能プラス使い勝手がよい製品を選びたかったのです。たとえば、サポートデスクに問い合わせがあった際、インシデントに問い合わせした社員情報を記録しますが、その際に自動で表示されるよう何千人もの社員マスタ情報の取り込みがSenju/SMでもできるかどうかという点は、我々にとって重要な要件の1つでした」(システムソリューション5部大野修平氏)
管理項目の追加や名称変更などが自由にできるのか、カスタマイズ性という点も大きな評価ポイントになった。
「従来の業務プロセスを大幅に変えることなく、ラベリングのみを変更すれば対応できる柔軟性も求められました。各社の製品評価版を使って、入力レスポンスや検索スピード、操作性なども調べました。このような調査の結果、総合的に最も良いと判断されたのが、NRIのサービスデスク製品“Senju/SM”でした」(大野氏)
もちろん現実的な問題として、選定には予算の関係も絡んでいた。そこで製品としてSaaS版である点もキーポイントになった。
「導入効果が出るのか、なかなか分からない面もあります。設備投資を最小限に抑え、きちんと効果を見極めながら評価したいと思いました。SaaS版を導入すれば、無駄な設備投資は不要ですし、導入後に止めるという判断も下せます」(中田氏)。

図1

サーバ/クライアントの両方で利用できる保守・運用体制を2か月の超特急で実現~3分に短縮

実際にSaaS版のSenju/SMを選定することを決定し、導入が始まったのは2014年1月のことだった。その後、細かい設定を行ったり、プロセスを確認しながら、トライアルを繰り返し、情報システム部門に対して本格的に展開したのが同年3月上旬。その間、わずか2か月あまり。まさに超特急の導入となった。あわせてマニュアルの準備をしたり、利用者の教育の準備も進めたという。
「選定要件の1つに、導入サポートが挙げられていましたが、NRIの手厚い支援のおかげで、なんとか計画していた期日に間に合わせることができました。Senju/SM自体の設定は、我々でも容易に行えるものでしたが、その前にどういった項目名にすべきか、標準化の部分でNRIにアドバイスをいただきました。社内的な問題として、やはり細かい部分で他部署と意見を擦り合わせていく必要があり、その点では苦労したことも多かったです」(中野氏)
GSCでは現在、サーバ運用とクライアント問い合わせ運用の両方から、Senju/SMのSaaS版を活用しているそうだ。サーバ運用では、システムアラートやハードウェア異常が上がってきた際のインシデント管理を中心に行っている。一方、クライアント問い合わせ運用のほうは、ユーザーの問い合わせを受け付けて対応するためのヘルプデスクとして使っているという。

今後の展望

Senju/SMの導入後、運用改善の大きな気運が高まる

Senju/SMの導入効果については、定量・定性面での効果が出ている。たとえば、顧客対応や障害発生の際に、管理者や責任者に情報を伝達していく「エスカレーション」の仕組みを構築できたからだ。
「口頭によるエスカレーションだと、相手が見つからなかったり、依頼を受けたつもりがないなど、伝達ミスが発生するリスクがありました。しかし、システム的にエスカレーションすれば、いま誰がバトンを持っているのか明確になり、伝達ミスが起こりにくくなります」(大野氏)
何かインシデントが発生し、その関連事項などを登録する際にも、以前の情報を再利用できることが、作業工数の削減に寄与している。またインシデントを記録に残す作業は、未対応処理をしっかりと把握し、対応の漏れをなくすことにもつながる。さらに業務効率の副次的な効果も現れた。
「Senju/SMを導入したことで、サポートデスクだけでなく、情報システム部門でもインシデントの報告を積極的に行ってくれるように変わりました。そのためヘルプデスク側で何か不明な点が出ても、その報告を検索すれば情報システム部門の対応が分かり、迅速に動けるようになりました。サービス品質が均質化する点もメリットです。逆に情報システム担当者は同じことを何度も訊かれずに済み、余計な時間を取られなくなりました」(大野氏)
レポーティング機能による「見える化」の効果もあった。ヘルプデスクの対応回数が数値として分かるようになり、改善活動の契機になったからだ。
「ITIL準拠の運用・保守に対する考え方が少しずつ浸透し、最近では社員の意識が変化してきたように感じます。単にインシデントの記録だけでなく、改善の声も上がり始めました。ユーザーから同じ問い合わせが来るケースでは、我々もそこに何か問題が潜んでいるのではないか?という発見ができ、情報システム部門側に修正してもらう根拠を出せるようになりました」(中田氏)
このようにGSCでは、運用改善の気運が高まるなかで、いままで気づかなかった潜在的な課題にも気づけるようになってきた。さらに同社では、この流れを担当者自身が自ら推し進められるように、レポート分析なども含めて、改善の一助となる展開を視野に入れたいという。そして将来に向け、より迅速な対応ができる改善活動につなげていく意向だ。

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