QUICKは、日経平均の算出をはじめとする金融関連情報やニュースを配信している企業だ。24時間365日、リアルタイムの情報を配信し続けるため、システムの監視には万全の体制を敷いている。ただし、緊急時の電話連絡は人手に頼った運用だったため、オペレーターへの負荷が大きく、かけ間違いといったヒューマンエラーに関する課題を抱えていた。そこで同社は、システムが出すメッセージに合わせて、システム担当者に自動的に電話をかける新たなシステムを検討することになった。
これまでの課題
24時間365日稼働を続ける約300のシステムを運用する負担
QUICKは、日本経済新聞社グループの金融情報サービス会社として、世界の証券・金融情報をはじめ、政治・経済情報をリアルタイムで配信。資産運用支援、注文執行業務の支援、情報ネットワーク構築支援サービスなど、証券・金融市場に関連する総合的なソリューションの提供を行っている。
そして、こうしたサービスを提供するインフラ基盤の構築・運用を担当しているのが、同社のサービス基盤本部だ。24時間365日、休むことなくリアルタイムの情報を配信している同社にとって、データセンターにおけるシステム監視と障害発生時の対応は、非常にクリティカルな業務だ。
それだけに、担当するオペレーターの負荷が問題になっていたと、サービス基盤本部副本部長三上裕史氏は次のように説明する。
「管理するサーバの総数は数千台、これらを使って提供しているサービスは約300に上ります。システムからは日々、さまざまなメッセージが出力されます。中でも緊急対応を必要とするものに関しては、障害対策マニュアルにのっとって、オペレーターがシステム担当者に電話連絡することになっています。連絡すべきかどうかを判断し、状態確認作業などを行った上で担当者を確認して電話をかけるまで、3分程度から長いと10分ほどかかります。夜間、特に深夜帯での連絡は、電話連絡を行っても担当者がつかまるまでに時間がかかることが多く、不在の場合は次の連絡先へと連絡網に従って繰り返し連絡し直すことがオペレーターの負担になっていました」(三上氏)
システムは24時間365日の稼働が前提のため、オペレーターは5チームのローテーションだ。その他の対応も含めて数十人で担当する万全の体制を敷いている。
しかし、特に夜間は人が少なくなる。このため、肉体的にも精神的にも、夜間の電話連絡業務はオペレーターの大きな負担になっていたのである。
三上氏は、電話連絡も含めた監視・運用業務の効率化が長年の課題だったと、次のように続ける。「これまで、監視・運用業務の効率化にはなかなか手が付けられませんでした。しかし、ビジネス環境が激変する中、ビジネスのデジタル化を推進する上で運用の効率化は不可避と判断しました。まずは電話連絡業務の改善から着手することにしました」(三上氏)
導入効果
「安心して個人情報を任せられるのか」
こうして同社は、ソリューションの選定を開始した。いくつかの候補を調査・検討した結果、最終的に野村総合研究所(以下、NRI)のmPLAT/AEC(Auto Event Cell)を選択した。
mPLAT(エムプラット)は、NRIのシステム運用管理ツールとして知られるSenju Familyのクラウド版だ。そして、mPLAT/AECは、運用管理ツールが検知した障害情報を連絡網に従って自動的に電話連絡するサービスである。mPLAT/AECを選択した理由について、サービス基盤本部部長藤生智宏氏は次のように説明する。
「唯一、mPLAT/AECだけが、我々の求める機能を備えていました。特に大きかったのが、電話をかけた結果を管理コンソールで確認できることでした。いくつかのサービスは、電話はかけられるものの、相手が受けたかどうかを確認できないものもありました。その点、mPLAT/AECは、電話をかけて相手が出たかどうか、出なかった場合は、次の相手にかけたかどうか......といった状況を確認できます。さらに結果がメールで通知されるので、オペレーターが安心できる点も評価しました」(藤生氏)
もう1つ、同社が評価したのが、NRIにおける個人情報管理そのものだった。
「クラウドサービスですので、弊社システム担当者の電話番号を開示することになります。従って、その個人情報を厳格に管理していただけるかどうかは、重要な評価ポイントでした。そこで、NRIさんから直接ヒアリングし、個人情報がどのように管理されているかを確認しました。その結果、問題がないと判断してmPLAT/AECを選定しました」(藤生氏)こうして同社は、2018年2月にmPLAT/AECの試験導入を決定。約2カ月間の試験運用を通じて業務に支障のないことを確認し、4月に正式導入・運用を開始した。
1件あたり10分の対応を2~3分に短縮
まだ本格的な稼働開始から日が浅いが、すでに大きな成果が得られていると、三上氏は次のように述べる。
「システム担当者への電話連絡開始までにかかる時間が、これまでの最大10分から2~3分以内に短縮されました。また、従来は電話連絡網を人が確認し、電話をかけていましたが、同じシステムでもメッセージによって連絡先が異なる場合などは、慎重な対応が求められました。システムによっては連絡時間帯が夜間だけなど対処方法が異なるものもあり、連絡対象かどうかの判断にも手間がかかっていましたが、mPLAT/AEC導入後は、それがなくなり、オペレーターの負担が大幅に軽減されました。」(三上氏)
なお、導入にあたって、同社はさまざまな要望をNRIに投げ、多くの要望が新しい機能としてmPLAT/AECに反映された。特に可変長メッセージへの対応は、より詳しい情報をシステム担当者に伝達するという点で、大きい機能追加だった。
「もともとは固定長のメッセージを読み上げる機能しかありませんでした。要望を出したところ、システムが出すメッセージをそのまま読み上げるモードを追加してもらえました。これにより、mPLAT/AECからの電話を受けたシステム担当者は、障害発生の事実とともに、その内容もいち早く確認できるようになりました。その結果、対応が迅速かつ正確にできています」(藤生氏)
今後の展望
対応システムを拡大し、さらなる自動化・省力化を推進
同社では、今後、対応システムを順次拡大していく計画だ。
「mPLAT/AECに対応しているのは、現在は十数システムですが、緊急かつ電話連絡が必要なものから順次対応を拡大していく予定です。対応システムが拡大すれば、さらに効果も大きくなり、電話連絡にかかっていた時間を他の業務に回せるようになると期待しています」(三上氏)
同社が目指しているのは、運用オペレーション全体の省力化・自動化だ。そのため、今後は運用業務へのRPA導入も検討しているという。運用業務に割かれていた人的リソースを新たな業務にシフトし、ビジネス環境の変化に対応していくのが、同社の戦略だ。
「フィンテックに代表されるように、現在、金融業界を取り巻く環境は劇的に変化しています。そうした中、我々も、短いサイクルで改良を加えて完成度を高めるDevOps的な開発を目指しています。また、会社としてもビジネスのデジタルトランスフォーメーションを推進するプロジェクトを立ち上げて、さまざまな取り組みを行っています。その中では、システム運用の改善も大きいテーマです。今回のmPLAT/AECによる電話連絡の自動化は、その先鞭という意味でも、重要なプロジェクトなのです」(藤生氏)
だからこそ、mPLAT/AECの役割は重要だ。今後、mPLAT/AECの対応システムが拡大し、電話連絡業務の自動化がさらに進めばそれが"呼び水"となって、その他の多様な業務の自動化・省力化も本格化するだろう。現在展望しているという、「AI(機械学習)を利用した運用自動化」への取り組みもその一例だ。
システム運用業務の自動化・省力化に呼応するように、同社のデジタルトランスフォーメーションも加速するにちがいない。
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