現状の課題
ユーザー部門に対してITサービスを提供する場合、サービスの問い合わせや不具合、改善要望などを受け付ける窓口となる組織(サービスデスク)を設けることが一般的である。しかし、近年のDX(デジタルトランスフォーメーション)の進行やクラウド技術の普及、さらにはAIやIoTの導入に伴うITの複雑化・多様化が進む中、単一の組織が、企業のあらゆるITサービスのユーザー窓口を提供することは実際にはかなり困難である。
ITインフラのプラットフォーム(クラウド環境、仮想化環境、エッジコンピューティングなど)や対象となるシステム(財務会計、販売管理、生産管理など)、アプリケーションの種類などにより、必要とされるスキルや知識領域が大きく異なるため、企業全体のサービスデスクを一つの組織で対応するのは現実的ではない。
ユーザーへのサービス提供という観点からは、窓口は極力一つにすることが望ましい。だが現実的に難しい以上、ユーザーへのサービスレベルを低下させることなく、一元的なサービスデスクを構築することが求められる。

解決策
ITサービスのサービスデスクを構築する場合、サービス提供側の都合ではなく、常にサービス利用者の利便性の観点から考えるべきである。ユーザーからの問い合わせ窓口は一つであることが望ましく、複数にする場合でも、ユーザーにとっての利便性を損なわないような分け方をすべきである。
例えば、PCの一般的な操作問い合わせや故障を受け付けるOA系サービスデスク、会計や受発注など基幹系システムについての問い合わせや不具合を受け付ける事務系サービスデスク、CAD・CAMなど専門技術的なシステムについての問い合わせや不具合を受け付ける技術系サービスデスク、などといった分け方が考えられる。
Senju Familyでの実践方法
Senju Familyのサービスデスクツールである「Senju Service Manager」は、一元的なサービスデスクを構築する上での標準的なシステム基盤を提供する。 OA系サービスデスク、事務系サービスデスク、技術系サービスデスクなど、さまざまなサービスデスク組織がユーザーからの問い合わせを受け付ける。それぞれをシステム別にインシデントとして一元的に記録し、共有することができる。
多様なコミュニケーションチャネル(チャットツール、電話、メール、Web セルフサービス、チャットボットやAIアシスタントなどの最新技術)に対応するとともに、ユーザーとのやり取りを記録することで、きめ細かな対応が可能となる。
特に、AIを活用したチャットボットの導入は、ユーザーの問い合わせに対して24/7で即座に応答することが可能となり、よくある質問に回答することで、ユーザーが自己解決を試みるきっかけを提供する。もし、チャットボットを通じての自己解決が難しかった場合も、ユーザーはWebセルフサービス機能を活用して、詳細な問い合わせやサポートを求めることができる。
Webセルフサービス機能は効果的な問合せ手段として、エンドユーザー自身がWeb画面から問い合わせを行うことを可能とするものである。対象となるシステムや問い合わせの種類により異なるフォーム(機能問い合わせ、不具合問い合わせ、改善要望など)を用意できるので、ユーザーの利便性が大幅に向上する。
問い合わせは、サービスデスク担当者がアサインされた上でインシデントとして起票される。インシデントに対する回答を記入すると、問い合わせを行ったユーザーに自動的に公開される。ユーザーに公開する情報は限定できるため、サービスデスク内部の管理情報などをユーザーに見せないようにすることが可能である。

