システム運用の現場では、管理対象システムや管理ツールが増え続けるが、既存の運用業務も残り続ける。運用業務が増えても要員は増員されず、運用現場は疲弊している。そこで、検討されるのが運用業務の自動化だ。しかし、従来の運用プロセスをそのまま自動化しても効果は限定的だ。システム運用において単純な作業はそれほど多くなく、経験に基づいた特別対応や緊急時の臨時対応などが心身に負荷を掛ける。人の判断が必要な状況をいかに減らすかが改善のポイントになるのだ。昨今注目を浴びるRPA(ロボティックプロセスオートメーション)は、GUI(グラフィカルユーザーインタフェース)操作を含む単純作業の自動化に向いている。しかし、システム運用業務の自動化にも向くとは限らない。ここでは、より複雑なIT部門の業務に適している「RBA」(ランブックオートメーション)を活用した自動化を紹介する。

システム運用の自動化は3つのステップで進める。まず、日々の業務を見直し、作業のムダを削減する。次に、過去の対応履歴などに埋まっているナレッジを有効に活用。最後に、作業の自動化だ。このステップを踏まないと、非効率な運用を自動化で固めてしまう恐れがある。

ステップ1:日々の業務を見直し、ムダを削減
成功のポイント
- 複数の管理ツールからのメッセージを集める
- 重複メッセージなど、無視をしても良いメッセージを消去する
- メッセージの相関関係を考慮し、さらにメッセージを減らす
運用業務を見直してみると、情報収集や状況把握に時間がかかっていることが分かる。まずは散乱しているシステムからのメッセージを集約すべきだ。システムからは毎日膨大な数のメッセージが発報されるが、それらのほとんどが無視されている。「無視をする」という作業自体が意外と負荷が掛かり、ムダである。
例えば「一定期間同じメッセージが発報されたら一つにまとめる」といった一定のルールを決めることで、各システムで抑止しきれなかったメッセージを削減できる。また、ツールをまたいだ相関関係を把握することで本来必要なメッセージのみに絞れる。

ステップ2:類似事象の検索を効率化
成功のポイント
- ナレッジを集約し、蓄積された情報を関係者が共有できるようにする
- 過去の対応履歴やナレッジDB(データベース)にある類似チケットの検索を効率化
- 曖昧な内容については、機械学習を活用したレコメンド機能も有効
次に、絞り込まれたイベントに対する一次対応を効率化する。状況を判断し、振り分けや対応を決めるのは属人的なノウハウに依存するケースが多く、負荷が減りにくい部分だ。ここで有効なのが過去の対応履歴の活用だ。
まずは、ナレッジを一元的に集め、関係者で共有できることが必要だ。しかし、集めただけでは有効活用が難しい。過去の類似事象の検索は、経験に基づいた職人技が求められることが多い。サービスデスクツールを使って情報を分類し、検索の精度を上げることが有効だ。最近は、機械学習を用いたレコメンド機能の活用も効果がある。

ステップ3:対応手順をシステム化し、自動対応
成功のポイント
- 属人的にやっていた対応手順を徐々にシステム化していく
- 無理やり自動化せずに、人の判断も残す
- 継続的に使うことで、自動化率を上げていく
最後に、対応の自動化だが、運用業務を全て自動化するとリスクが高くなる可能性がある。特別な背景などを自動化ツールに把握させることは難しく、低頻度で複雑な対応を無理やり自動化すると、メンテナンスが大変になって非効率になることもある。全ての作業を無理やり自動化するのではなく、人の判断を残すのがポイントだ。まずは手動対応から進め、自動化できる部分を徐々に増やしていくと効果的だ。継続的に使いこなすことでナレッジが蓄積され、自動化率が向上する。
自動化手法はRBAが有効だ。運用手順書に記載されている複雑な手順でも、対応フローをつなげるだけで自動化できる。手動と自動の混在ケースや、異常時のリカバリーフローなども設定可能なため、スムーズかつ着実に自動化を推進できる。

これらの3ステップは、パッケージ型の「Senju/ASM」またはSaaS型の「mPLAT/AMP」で実現できる。この機会に、効果のある自動化に取り組んでみてはいかがだろうか。
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