リモートワークが急速に広まったが、システム運用においては、リモート作業を可能にするインフラの整備(リモートワーク1.0)だけでは課題が残る。効率的かつ安全・安心なシステム運用を行うには、社内社外の関係者とのチームワーク向上(リモートワーク2.0)や、統制の確保が必要だ。そのためには、属人化を解消するための情報とプロセスの集約や、チャットツールを活用したChatOps、開発と運用の連携による統制強化と迅速対応の両立が有効である。
リモートワークによるシステム運用、
まずは情報とプロセスの集約
リモートワークの悩みの1つに、有識者に簡単に相談できないことが挙げられる。システム運用業務には、決められたプロセスを定期的に実行する「定型作業」、リリースや変更などの「特別作業」、障害対応などの「緊急作業」がある。どの作業も単に手順書通りに行えば良いのではなく、利用者の背景や過去の対応履歴、他システムへの影響等々、さまざまな状況を考慮し注意深く行う必要がある。そのような運用業務の背景を俯瞰する空気感がリモートワークだとつかみにくい。そこで取り組みたいのが、「情報とプロセスの集約」である。役割や組織ごとにサイロ化しがちなタスク管理やプロセス管理を1カ所に集め、社内外に分散する情報を共有することにより、リモートでもチームワークを強化でき、効率的な運用を行えるのだ。
情報やプロセス集約の次は、チャットを活用したコミュニケーション
次に取り組みたいのが、チャットの活用である。メールは情報量が多いが一方向的で頻繁なやりとりに向いていない。また、電話は即応的だが、情報が少なく、多人数での共有に向いていない。その点、チャットであれば時間を束縛せず、画像や資料も連携しやすく情報量が多い。タイムリーかつ頻繁に関係者とのコミュニケーションが可能なため、システム運用の「定型作業」「特別作業」「緊急作業」のどれにおいても有効である。さらに効率を上げるのがChatOpsである。チャットツールとシステム管理ツールの連携により、チャット上でのシステム監視情報の取得や、ジョブ管理やワークアラウンドの実行が可能だ。機密情報を扱う場合は、オンプレミス型のチャットツールを導入することで、柔軟かつセキュアなコミュニケーション環境を用意できる。
統制を確保しつつ、開発やベンダーと運用を連携
情報やプロセスの集約とチャットの利用によって、リモートでの運用業務を効率化できるが、同時に取り組まなければいけないのが、統制の強化である。開発担当と運用担当では本番システムへのアクセス範囲や操作権限を分けるべきだが、リモートワーク化により連携が取りにくくなると、運用部門への問い合わせが増え、対応に時間がかかるケースが想定される。暫定対処としてアクセス管理を緩めると、オペレーションミス等による障害発生のリスクを抱えることになる。
そうした課題への対応策として、NRIでは「DevOP」というサービスを構築して、運用部門の負荷軽減と開発部門の利便性向上を実現している。メッセージの確認やジョブ稼働状況の確認、ログの採取等の作業を運用担当に依頼するのではなく、DevOPにアクセスすることによって自らが行う。システム異常の調査や、リリース前の状況確認などが効率的に行える。また、DevOPは本番システムとは切り離されているため、統制も確保されている。NRIのケースでは、平日日中のイベントへの対応は約3分の1、リリース前の準備も約4分の1に時間短縮できている。
このように、チームワーク強化および統制強化の仕組みとプロセスにより、リモートワーク化されても効率的かつ安全・安心なシステム運用が可能になる。これらの取り組みは新型コロナウイルスによる異常事態が収束した後も有効だ。今回の新常態をチャンスと捉え、ぜひ改善に取り組んでいただきたい。
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