NRI 野村総合研究所
コストの垂れ流しを防ぎ、
月額200万円を削減した事例も

マルチクラウド横断で利用状況を可視化
統制強化とコスト削減へ

マルチクラウドの利用が広がる中で、複数のクラウドの統合管理をどのように行っていくかに頭を悩ませる企業が増えている。企業がクラウドサービスプロバイダーに支払う利用料のうち、削減できるコストは40〜50%を占めているとも言われる。管理するクラウドが増えればその分だけ可視性の欠如や管理コストの増加、ガバナンスやセキュリティの問題が顕在化し、事業にダメージを与えかねない。それに対する解決策として、NRIが提供するマルチクラウド管理ツール「mPLAT/Clouday」を解説する。

マルチクラウド利用の拡大に伴い
管理に悩む企業が増加

近年では、クラウドの活用が進んだことで複数のクラウドを使い分けるマルチクラウド環境を採用する企業が増えてきた。マルチクラウドのメリットは、用途に応じて各クラウドの「いいとこ取り」ができることや、ベンダーロックインを回避できること、冗長化やリスク分散ができることなどにある。
特にパブリッククラウドは、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azure(Azure)に加え、Google Cloud Platform(GCP)、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)など、IaaSを中心に独自の魅力を持ったサービスが登場しており、選択や活用の幅が広がっている。
一方で、マルチクラウドによるデメリットも存在する。よく課題になるのは、組織内での統合的な管理が困難になることだ。クラウドサービスごとに管理体系や運用方法が異なるため、複数のクラウドを利用することで、どの部門のどのユーザーがどんなサービスを利用しているかを把握しにくくなる。
また、コストが増加することも大きな課題だ。複数のクラウドを組み合わせるには、クラウドごとに利用料が必要であり、運用コストは増える。冗長性を確保したりベンダーロックインを回避したりするためには、効率良く管理するための運用管理コストも必要だ。その中で管理しきれないインスタンスが放置され、余分なコストを支払い続ける可能性が高まる。
さらに、セキュリティやガバナンスも大きな問題になる。クラウドは有用な技術である一方でその手軽さからシャドーITを招いたり、サービス設計のミスや設定の不備から不正アクセスや情報漏えいを招いたりする事例も頻発している。ガバナンスを確保し、セキュリティ対策を徹底する仕組みが必須だ。
近年は、こうした課題に対応するために、マルチクラウド管理のツールに注目が集まっている。その1つとして有力なサービスが、NRIが提供する「mPLAT/Clouday」だ。以下にその詳細を解説する。

Senju Familyで知られるNRIが提供する
マルチクラウド管理ツール

情報システムの運用管理を高度化・効率化するソリューション「Senju Family」を開発・提供しているNRIだが、各種クラウドサービスの管理機能も積極的に開発している。「Senju Family」のクラウド版は「mPLAT」ブランドで提供している。その中で、mPLAT/Cloudayはマルチクラウド管理ツールとして2019年10月にリリースされたサービスだ。
mPLAT/Cloudayは企業のマルチクラウド管理にどのようなメリットをもたらすのか。それを知るためには、まずマルチクラウド管理において可視性、コスト、セキュリティがなぜ課題になりやすいのかを整理しておく。
企業がクラウドサービスプロバイダーに支払う利用料のうち、削減できるコストは40〜50%を占めると言われている。無駄なコストの要因となるのは、利用されていないインスタンスやストレージ、不必要な24時間稼働、オーバースペックなリソース割り当て、割引オプション(リザーブドインスタンス)の未使用などだ。逆に言えば、利用状況をしっかり可視化できれば、管理が行き届かなくなることで生じる不要なコストを防ぐことができる。

だが、なぜ適切な可視化やコスト管理ができないのか。それはマルチクラウド環境に特有のハードルに起因する。具体的には、複数にまたがったアカウントを横断的に管理できないこと、クラウドサービス固有の異なるサービスを横断的に管理できないこと、横断的な管理に必要になるデータ収集・加工の前準備が不十分なこと、コスト管理のノウハウがないことなどだ。
管理のために必要となる、アカウント、プラットフォーム、データ、ノウハウそれぞれごとに越えなければならないハードルがあり、それが障害となって、可視性やコスト、セキュリティの課題につながっているわけだ。

図1
複数のアカウントの管理、複数の異なったクラウドの管理など、
マルチクラウド管理の課題は幾層にもなって存在する

mPLAT/Cloudayが解決する課題と
ユーザーにもたらすメリット

前述したハードルを取り除き、可視性やコスト、セキュリティ課題を解消するのがmPLAT/Cloudayだ。mPLAT/Cloudayは、AWSやAzureなどに対応したデータ収集プラグインを利用してそれぞれのクラウドから各種データを自動収集する。それらデータは、mPLAT/Clouday内のデータベースに蓄積され、ユーザーは、蓄積されたデータをさまざまなクエリやグラフを使ってマルチクラウド横断で柔軟に可視化・分析が可能になるという仕組みだ。  収集するデータは、クラウドサービスが提供しているデータを任意に選択することができる。それらデータを加工することで、例えば、サービスの利用状況、障害状況、アカウントの利用状況、支払っているコストの内訳、部門ごとの課金状況などダッシュボード上で自在に表示することができる。  クエリはアドホックに行うことができ、クエリの内容をユーザー自身が柔軟にカスタマイズすることができる。サービスを利用する際には、データ収集プラグインやクエリなどをNRIが企業ニーズにあわせて提供することも可能だ。  このように、クラウドごとに分散しているデータを自動収集・蓄積することで、データ収集に関する課題を解消する。また、アカウントやクラウド横断での可視化を行い、アドホッククエリを利用した柔軟な分析を行うことでアカウントやプラットフォームにまつわる課題を解消する。さらに、NRIがこれまでの実績をもとにした管理ノウハウを提供しながら、ノウハウの欠如という課題も解消していくというわけだ。

図2
マルチクラウド向けのデータ収集プラグインを利用して
コストなどのデータを自動収集

ユーザー向けにBI、分析、最適化や
アラートなどの機能を提供

mPLAT/Cloudayがユーザー向けに提供する機能では、大きく分けて「BI機能」「分析機能」「最適化機能」「アラート機能」が存在する。その概要は以下の通りだ。

BI機能

ユーザー自身が柔軟にダッシュボードを作成するための機能だ。ダッシュボードは、複数のアカウントや複数のクラウドを横断して可視化・表示でき、ドラッグ&ドロップでパネルのサイズや表示順、表示項目などを切り替えるといった直感的な操作性を実現している。クエリをカスタマイズすることで要件に応じたグラフや表示項目を自由に設計できることも特徴だ。

分析機能

「データ探索」と「コスト分析」という特徴的な機能を提供する。前者のデータ探索は、データソースごとに、GUIベースでのデータ分析機能を提供するものだ。例えば、AWSにかかっているコストの増減をタイムラインでグラフ表示したうえで、リージョン別、種類別、アカウント別、サービス別などフィルターを適用しながら、利用頻度やコスト効率などを分析していくことができる。
後者のコスト分析は、コスト管理に特化したメニューを提供するコンテンツだ。このメニューを利用すると、ダッシュボード上には、月の総コスト、前月比較、日別コスト、サービス別コストなどが自動で表示される。コスト分析の結果をもとにコスト削減のための施策を実行する上で役立つ情報を提供する。

図3
各データソースごとにGUIベースでのデータ分析機能を提供
図4
複数のクラウドのコストを可視化・分析することで、
コスト削減活動に大きく寄与する

最適化機能

KPIを定義して「プラクティス」として管理できる機能を提供する。KPIの達成状況の可視化はプラクティスごとに行える。この機能があることで、ただの可視化だけでなくコスト低減活動のPDCAを促進できる。

アラート機能

条件に基づいたアラート通知を管理する機能を提供する。例えば、利用料金が一定の額を超えるなど、特定の条件を満たした場合にメール通知、SMS通知、Slack通知などを行うことができるため、情報の迅速な共有が可能となる。

事前定義を活用して
コスト情報やメトリクス情報を自動収集

mPLAT/Cloudayは管理機能も充実している。大きく「ユーザー/ロール/ポリシー管理」「コネクション管理」「データソース管理」機能がある。
ユーザー/ロール/ポリシー管理では、ユーザーの参照/更新/削除の権限を設定したり、ロールとして閲覧者/ダッシュボード編集者/管理者などを設定したり、それぞれのポリシーを定義できる。ポリシーではサービスごとに操作権限を設定することできめ細かな制御を実現する。
コネクション管理では、クラウドプラットフォームに接続するために必要な設定情報をコネクションとして定義する。例えば「AWSコネクション」「Microsoft Azureコネクション」などがある。
データソース管理では、コネクション定義を利用して各プラットフォームに接続後、指定された情報を自動的に収集するために必要な設定情報をデータソースとして定義する。例えば、AWSのコスト情報やメトリクス情報、Microsoft Azureのコスト情報やメトリクス情報を取得することができる。事前に用意された定義を使うことで、データソースを検索したり操作したりする必要がないことがメリットだ。

無駄なコストを見直し
月額200万円削減を実現した事例も

mPLAT/Cloudayは、NRIの社内向けのマルチクラウド管理ツールとしても利用され、もちろん社外でもさまざまな事例で効果が確認されている。
NRI社内では、AWSとAzureそれぞれのコスト情報とメトリクス情報を収集し、無駄なコストが発生していた箇所を特定し、コスト削減を実施した。具体的には、アカウント体系・管理者の整理、常時稼働インスタンスの可視化(不要インスタンスの削除、起動時間の制限、リザーブドインスタンス購入など)、人/チーム/プロジェクト別の可視化(使い過ぎの抑止)、単位時間当たりの可視化(インスタンス数の削減、ストレージボリュームの削減)などで、その削減額はある一部署だけで月額200万円にも及んだ。
また、ある金融機関向けには、約200のAWSアカウントのコスト情報を統合管理した事例がある。この金融機関ではAWSのコスト管理のほかにも、システムからのメトリックスデータをmPLAT/Cloudayで可視化したり、NRIが提供する監視サービスのデータをmPLAT/Cloudayに収集している。
利用部門や顧客向けの請求管理サービスを構築した事例もある。mPLAT/Cloudayのクエリ機能を活用して、部門やアカウントごとの請求額の算出を効率化し、別途開発した請求アプリと連携させて請求管理を自動化した。NRIによる機能のカスタマイズやサービス開発を含めた包括的なソリューションとして提供できることも、mPLAT/Cloudayの強みだ。
mPLAT/Cloudayは、マルチクラウド管理ツールのSaaSとして手軽に利用することができる。また、NRIのノウハウを使いながら、各種ソリューションとの連携や、ビジュアライゼーションソリューションとしての応用、顧客ニーズにあったインテグレーションの基盤としても活用できる。マルチクラウドの活用を推進する企業にとって、mPLAT/Cloudayは力強い味方となるだろう。

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