NRI 野村総合研究所
導入事例 製造

グループ110社1000台を監視、
多拠点運用の標準化を実現

東洋紡株式会社 様

東洋紡システムクリエートは、紡績業界の名門、東洋紡グループにおいて、システム企画から、開発、構築、運用、保守までを一手に引き受ける情報システム子会社だ。東洋紡は全国に事業所・工場を持つが、従来は拠点ごとに異なるツールを用いて、サーバやネットワーク機器を個別監視していたため、監視レベルのバラつきや、監視スキルの偏在化など、いくつかの問題が起きていた。そこで今回、グループ内約1000台の機器を監視対象として、運用業務の標準化と集中管理による運用負荷の軽減に取り組んだ。

これまでの課題

各拠点に異なる監視ツールが導入され、監視レベルやスキルが偏在

東洋紡システムクリエートは、紡績業界の名門、東洋紡の情報システム室から機能分社し、現在110社におよぶ同グループ内のシステム企画から、開発、構築、運用、保守までを一手に引き受けている情報システム子会社である。2013年から、さらに戦略的な情報システムを推進すべく、東洋紡の経営企画室内にあるIT企画グループにも参画し、本社と一体的に業務を担当している。
東洋紡システムクリエートの主力事業はグループ企業に関わるものだが、グループ企業外でのシステム展開でも数多くの実績を重ねている。たとえば、ERPソリューションやネットワークソリューションの外販のほか、SIerとして他社へのシステム構築も行っている。特にERPソリューションでは、販売管理から会計・人事給与まで幅広く活用できる「GRANDIT」を柱とした商材に注力している。
同社は1992年の設立以来、東洋紡グループのビジネス拡大を支えるITシステムの開発を手がけてきたが、システムの構築後はもちろん、運用・保守という縁の下の力持ち的な業務を堅実に続けている。同社の技術統括部インフラ運用部長の鈴木勇人氏は、グループの基盤を支える業務について次のように語る。
「インフラの運用は、整備されていて当たり前とみなされる世界です。日常業務をいかに素早く、快適に行えるのかが求められています。しかし、従来はトラブルが起きても、場当たり的な対応に終始してしまうこともあり、なかなか恒久的な対策ができていませんでした。こうした悪循環を止め、経時的な兆候予測も行いたいという思いがありました」(鈴木氏)
また、同社グループは、全国各地に事業所があるが、これら各拠点では異なるツールによって、サーバ、メインフレーム、ネットワーク機器を個別に監視していたため、監視レベルのバラつきや、監視スキルの偏在化、業務報告の煩雑さなど、いくつかの問題が起きていたという。同社でインフラ運用に携わる戸奈弘明氏は、当時の状況について、こう振り返る。
「これまで各事業所内では機器を管理し、運用していましたが、全社としての棚卸は十分ではありませんでした。全体を俯瞰して監視・チェックできる“見える化の体制”が求められていたのです。しかし、実際には千差万別の報告書が上がっている状況で、それらを総合的に管理すること、日々トラブルに追われていたメンバーの運用負荷を軽減したいこと、この2つが大きな課題でした」(戸奈氏)
そこで今回、統一された監視サービスによる運用業務の標準化と、集中管理による運用負荷の軽減や情報集約を目的とし、新たな運用管理製品の導入を検討したという。

導入効果

選定の決め手はエージェントレス監視と仮想化対応

運用管理と一口にいっても、さまざまな製品が世に出回っている。東洋紡システムクリエートでは2011年から製品の導入検討に入り、数種類の製品を事前に比較したそうだ。まずコストや操作性から、一次選考の段階でいくつかの製品が脱落し、オープンソース系のIT運用監視マネジメントシステム「Zabbix」と、野村総合研究所(以下、NRI)が提供する「SenjuOperationConductor」(以下、Senju/OC)の2つに絞られた。そして両者が厳密に要件を満たすかどうか、実際のシステムに当てはめながら検討する中で、最終的にSenju/OCが同社のツールとして選ばれたという。
戸奈氏は、Senju/OCを選定した理由を次のように語る。
「1番の決め手になったのは、Senju/OCがエージェントレスで監視を実現できることでした。拠点数や規模的なこと、監視項目の多さなどの理由により、技術屋の立場からはエージェントを極力入れたくないと考えていました。また仮想化への対応もありました。Senju/OCは、バーチャリゼーション監視によって、VMwareESXの監視と制御も行えることも高い評価につながっています」(戸奈氏)
もちろん、コスト面でもSenju/OCのほうが有利だった。
「一見するとZabbixのほうがフリーで安そうに思えますが、我々のような規模になると、サポートしてくれるベンダーの費用も考慮に入れなければなりません。維持管理まで含めて考えると、コスト面でもSenju/OCのほうが圧倒的に有利でした」(鈴木氏)
また社内的な事情もあった。TCシステム事業部事業システム部堅田システムセンターの坂井伸弘氏は次のように説明する。
「各拠点の担当者のスキルは一定というわけではありません。その点、Senju/OCの画面インターフェースは直観的で、ノード単位や機器単位の監視状態が簡単に分かりました。経験の浅いメンバーでもすぐに操作できたのです。Zabbixでは直感的な操作ができず、専門の要員を各拠点に配置したり、定期的に巡回する必要があり、これは現実的ではないだろうという判断がありました」(坂井氏)
このほか、ITリレーションを活用したトポロジーマップとして表示したネットワーク構成の影響範囲確認や、サーバ付属の簡易監視ツールから吐き出されるログとの連携、カスタム監視機能を活用したActiveDirectoryの名前解決の監視などの要件も、Senju/OCであれば満たせた点が大きかったという。さらに、性能グラフの自動出力や、担当者が応答するまで繰り返す通知回数のカレンダー制御なども利用している。

図1

今後の展望

Senju/OCのポテンシャルを最大限に活用していく

本格的に動き出したのは2013年3月からである。大阪のデータセンターにある「千手マネージャ」で集中管理し、各拠点からは「千手ブラウザ」で接続し、事業所の稼働状況を確認している。
システム導入時には、まず堅田事業所で先行スタートし、ある程度ノウハウを吸収してから、各事業所に展開する手法を取った。当初3、4ヶ月間は、導入や設定に関してNRIの支援を受け、必要なスキルを習得した。たとえば、NRIの運用ノウハウが蓄積された監視項目やしきい値を盛り込み、さらにSenju/OCの“カスタム監視”機能を活用して監視の標準化を進めていった。そして半年後に、ほぼすべての監視定義を終了し、自力で運用できる形になったという。
「まず堅田事業所で試して、何か問題があればNRIに問い合わせるという流れでした。堅田をベースに本社や他事業所からの疑問点を集約し、NRIに解決策を求めながら強いパイプをつくりました。実際にNRIのSEには何回も足を運んでいただきました。メーカー直なので、改善要望への対応もスムーズでした。もし、このような支援がなければ、問題解決までに何週間もかかっていたかもしれません。また導入支援の一環として、各拠点の担当者を集めてセミナーも実施してもらいました。こういったサポートの有無によって、立ち上げ時にかなり差が出ると感じました」(坂井氏)
Senju/OCによる効果については、標準化によるグループ全体の運用品質の向上が見られるという。戸奈氏は、その手応えを肌で実感していた。
「今までは本社から各事業所の状態や監視がほとんど見えていませんでした。しかし、現在では同じ指標、同じレベル、同じツールを使って、同じ監視項目で情報を共有できているという感覚があり、本社・拠点の相互で話が通じるようになりました。また、予兆監視やリソース監視により障害を未然に気付けるようになっており、ヒヤリハットが減っています」(戸奈氏)
今回は、ITインフラの監視体制を整えることが第一の目的であり、いわば監視システムを構築するフェーズだった。それについてはほぼ達成されたわけだが、今後はさらに高度な利用を進めていきたいという。
「自社でERP製品を拡販していることもあり、今後は業務アプリケーションの監視にも対応させたいところです。Webシステムをログインした後、何らかの機能をスクリプトで自動化できるようなイメージです。まだ運用で使いこなせていない“ランブック・オートメーション”を活用して、たとえばメンテナンスのスケジュールに合わせてサーバを落としたり、何かイベントが上がったら、決められた手順で初動処理をするといったことも実現していきたいですね」(坂井氏)
最後に鈴木氏は、今後の具体的な展開についても触れた。
「来期はPDCAサイクルを回し、しっかりと運用していくフェーズに入っていくつもりです。また、HDDの空き容量やネットワークトラフィックの数値を明示化し、パフォーマンス低下の傾向などをつかむことで、今後どのタイミングでどんな投資が必要になるのか、経営側に対して参考になるレポート提出のための傾向分析も実施していきたいですね」(鈴木氏)
Senju/OCには統合監視システムとして数多くの可能性を秘めている。同社では、そのポテンシャルの高さに期待を寄せており、今後のさらなる発展につなげていくことになりそうだ。

事例資料を見る

株式会社東洋紡システムクリエート様
事例資料ダウンロード

無料!検討に役立つ業種別プロジェクト実績集を無料でご利用いただけます

プロジェクト実績集をダウンロード
Contact

Senju Family / mPLATに関するお問い合わせ

ご購入前の製品・サービスに関するお問合せは
Senjuインフォメーションセンター までお願いします。

お問い合わせフォームはこちら

フリーダイヤル・メールでもお受けしております。

0120-736-580

受付時間 平日10:00〜17:00 土日祝祭日、弊社休日を除く

senjuinfo@nri.co.jp