NRI 野村総合研究所
導入事例 通信/サービス/商社

ヘルプデスク業務のシステム化・内製化を推進し、円滑な業務フローとナレッジの蓄積・共有を実現

メガネの田中ホールディングス株式会社様

1913年(大正2年)、広島唯一のメガネ専門店として創業し、100年以上にわたって事業を展開してきたメガネの田中チェーン株式会社。近年、グループ経営の強化とデジタル技術の効果的な活用に取り組んできた同社では、これまで外注で対応してきたヘルプデスク業務の内製化を検討。国内シェアトップクラスのサービスデスクツール「mPLAT/SMP」を導入し、課題の解決を図っている。

図1

中国・近畿エリアを中心に、全国111店舗を展開するメガネの田中グループ。店舗内には、眼鏡(補聴器)に特化した専用システムが数多く使われており、ヘルプデスク業務の効率化は喫緊の課題となっていた。

これまでの課題

適切なデジタル化によって、現場業務の効率化を図るメガネの田中グループが見据えるIT戦略

メガネの田中ホールディングスを中核会社として、眼鏡・補聴器・サングラス・コンタクトレンズを販売するメガネの田中チェーン、補聴ケア専門店の聞こえの田中、レンズやメガネフレーム製造を手掛ける日本レンズ工業、佐々木セルロイド工業所からなるメガネの田中グループ。「優れた品質の商品とサービスで、お客様に喜んでいただく」という価値観のもと、全国111の店舗を展開し、顧客に「見える驚き、見られる喜び」「聴こえる驚き、話せる喜び」を提供し続けてきた同グループでは、近年、デジタル技術の活用に注力しており、メガネの田中ホールディングスのIT部を中心に、グループ全体のIT環境整備を進めている。IT部のディレクターを務める中嶋隆之氏は、同社が推進するIT戦略の現状について次のように語る。
「創業111年目を迎えた当社ですが、ITユーザーとしての歴史は浅く、現社長が就任した2016年頃からシステムとデジタルへの投資を本格化しました。当初は、注目されている技術やシステムを多数取り入れた結果、オーバーデジタルな状態になってしまい、入れてみたものの使われていないものがありました。現在はデータ連携の整理とユーザーリテラシーの強化が進んできて、ようやく軌道に乗ってきたと感じています」(中嶋氏)

図2

外注で対応していてヘルプデスク業務に運用コストや解決率での課題が顕在化

こうしてデジタル化の推進から、デジタル化による価値の創出へとステージを進めた同社は、デジタル技術を活用した業務課題の解決に向けた取り組みをスタート。数多くの課題を抱えていたヘルプデスク業務の改善に着手した。その当時、業務PCなど一般的なIT機器から店舗内で使われる専用システムまで、幅広い領域の社内問い合わせに対応する同社のヘルプデスク業務は外注されており、運用コストや解決率といった面で課題を抱えていた。さらにサポート範囲外の問い合わせに対する社内窓口の設置や、問い合わせ対応のナレッジが社内に蓄積されないことなど、外注化による弊害を払拭する必要があると判断した同社は、ヘルプデスクシステムの導入による業務改善、および内製化というアプローチに着目。システムの選定を開始した。リーダーとして本プロジェクトを牽引するメガネの田中ホールディングスIT部マネジャーの金森茂雄氏は、外注していたヘルプデスク業務で顕在化していた課題について、こう話す。
「当社は小売業を生業としており、一般的な業務PCだけでなく、店舗で利用する販売業務向けの専用システムも運用しています。このため、当時の外注先も2つのチャネルを用意し、通常のPC周りと専用システムの問い合わせを分けて対応していました。ただ、店舗スタッフがトラブルに遭った場合、それがPCが原因なのか、業務システムの不具合なのかわからず、どちらに問い合わせればよいのか悩むケースも少なくありませんでした。また、外注先に蓄積されたナレッジも、月次レポートをもらう程度でIT部が詳細を共有できておらず、コスト面で見合わないという話も出てきていました。こうした課題の解決を図るため、業務プロセスの見直しと内製化を実現できるヘルプデスクツールの選定を開始したというのが、本プロジェクトの経緯となります」(金森氏)外注先で問い合わせ対応したナレッジがIT部、さらには社内システムの開発を担当するベンダーに共有されなければ、同じ問い合わせやリクエストが何度も繰り返されるリスクが高まると金森氏は語り、チケット管理が行え、関係各部署で情報を共有できるヘルプデスクツールの導入は必然だったとシステム導入の経緯を説明する。

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導入効果

規模にあったコストで導入できることと誰でも使える操作性の良さが採用の決め手

システムの選定にあたっては、複数の製品が比較検討された。重視したポイントは、同社の規模感に合ったコストで導入できることと、店舗スタッフが問題なく操作できる使い勝手のよさだったと金森氏。「低コストで導入できる製品はできることが限られ、逆にコストの高い製品では使いこなせない機能も出てくるので、そこのバランスを重視しました。また、必ずしもITスキルが高いわけではない店舗スタッフに使ってもらうためには、誰でも使えるわかりやすいインタフェースも必要と考え、選定を進めていきました」と話を続ける。
そして同社が最終的に採用したのは、野村総合研究所(NRI)が提供する「mPLAT/SMP」。NRIの運用現場で培われたノウハウが惜しみなく投入された製品で、豊富な機能と使いやすさを両立し、日本特有の運用にも対応できるサービスデスクツールだ。金森氏はmPLAT/SMPを採用した決め手について、「コストと機能のバランスに優れ、インタフェースも作り込めるなど、当社の要件に合致していたことに加え、NRIさんがトライアルで実運用のイメージを提示してくれたことが大きかったです」と言及する。ベースとなるプロトタイプがトライアルで構築されていたこともあり、システムの構築はスムーズに進んだ。入力フォームをシンプルにすることで店舗スタッフへの定着を図ったと金森氏は工夫したポイントを挙げ、トライアルの提供をはじめ、NRIの密接なサポートがスピーディに構築できた要因と喜びを口にする。

図4

ヘルプデスクのシステム化・内製化により電話対応が激減し、問い合わせ件数も半分に

mPLAT/SMPの導入、すなわちヘルプデスク業務のシステム化と内製化にあたり、同社IT部では店舗スタッフからヘルプデスク業務担当者を公募。ITへの興味が高い若手スタッフ2名が手を上げ、プロジェクトに参画した。「ITに強い店舗スタッフ2名が参画したことで、現場目線でシステムを作り込むことができました。先ほど話した入力フォームに関しても、2人の意見を落とし込んでブラッシュアップしています。本番稼働の1カ月前には、プロジェクトメンバーでシミュレーション、内部的なトライアルを実施して再チューニングを施してから本格運用を開始しています」(金森氏)
現場の意見を反映させたうえで業務フローの見直しが図られたことにより、問い合わせ対応は大幅に効率化。IT部をはじめとした各部門、さらにはアプリ運用ベンダーやインフラ運用ベンダーまでがmPLAT/SMPで情報を共有できるようになり、トラブルの発生から対応までにかかる時間が短縮されたという。
「以前のヘルプデスク業務は電話とメールに対応しており、月間300件程度の問い合わせの約9割が電話によるものでした。電話は簡単に利用できる反面、詳細な状況やIDなど必要な情報を伝えづらいというデメリットがあります。内製化にあたって、電話とmPLAT/SMPの問い合わせフォームの2つのラインを軸に、メールでの問い合わせも受ける形でスタートしましたが、最初はやはり電話での問い合わせが多く、件数にも大きな変化はありませんでした。そこから半年程度運用を続けたところ、電話での問い合わせが減ってきました。我々のほうでフォーム利用を推奨したこともありますが、mPLAT/SMPによってタイムロスが少なくなることを、ユーザーに理解してもらえたことが大きかったと思います。現在では、電話での問い合わせは1割以下で、mPLAT/SMPの利用が定着化しています」(金森氏)
さらに金森氏は、mPLAT/SMP導入のメリットとして「クリアなやり取りが可能になったこと」「問い合わせ対応を公開することで、ナレッジの共有が図れたこと」を挙げ、その結果、問い合わせの件数を減らすことに成功したと手応えを口にする。運用開始から約1年で、以前は月間300件あった問い合わせが200件強に減少。現在では月間150件を切る月も出てきており、1日5件程度と問い合わせ件数は半減しているという。
「問い合わせ数が半減したことで、IT部のヘルプデスク業務担当者にかかる負担も大幅に低減しました。これによりIT部本来の業務に注力できるようになったのは、大きな成果と捉えています」(金森氏)

図4

今後の展望

mPLAT/ヘルプデスク業務のさらなる効率化を目指しメガネの田中グループの挑戦は続く

問い合わせラインの1本化や、問い合わせ件数の減少といった導入効果により、内製化当初は最低5人以上で回していたヘルプデスク業務は、現在2~3人の担当者で運用されている。システム化・内製化のメリットはそれだけに止まらず、ヘルプデスク業務時間の平準化・最適化といった面でも効果が表れている。
「mPLAT/SMPに集約された情報から問い合わせの傾向を分析することで、24/365体制のヘルプデスク業務を見直し、ワークライフバランスの改善を図り、土日の業務をなくすことができました。ヘルプデスク要員の適切な配置といった観点だけでなく、人材確保の観点からも有効な成果と考えています」(金森氏)
今回のプロジェクトの成果を踏まえ、同社はヘルプデスク業務のさらなる効率化を目指していくという。生成AIなどの活用によるプッシュ型のFAQをはじめ、ユーザーがより自然に問い合わせできるような環境を実現していきたいと金森氏。mPLAT/SMPだけでなく、統合的なシステム運用ソリューションであるSenjuFamilyの効果的な活用も視野に入れていると展望を語る。
IT部を統括する中嶋氏も、今回の取り組みで得られたものがメガネの田中グループ全体のDXを推進していくうえでの原動力になると手応えを口にする。
「デジタル投資を拡大して導入したITシステムやデジタルツールが、ビジネスにおける武器になっていなかったことをあぶり出してくれたのが、今回のプロジェクトであり、mPLAT/SMP導入の効果だと捉えています。つまりはユーザーのリテラシーと導入したツールの要求レベルが合っていなかったわけで、今後はそこも考慮しながら、ビジネスにおけるデジタルツールの活用を促進していきたいと考えています」(中嶋氏)
ヘルプデスク業務のシステム化・内製化をフックに、デジタル化による価値の創出を目指す同社の取り組みには、今後も注視していく必要があるだろう。

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